物事の裏表 <東証IRフェスタと金融業界の戦略>
東証IRフェスタ2015に行ってきました。
ある会社がROEについてアピールされており、
その背景にある金融業界のしたたかさを感じました。
最近の株雑誌をはじめ、なぜROEという指標に着目するようになったのかを、
考えながら、物事の裏表について知っておくことの重要性を述べます。
論理が極端になっていますが、本エントリーの伝えたい内容を
理解してもらうために、ご容赦ください。
まずは、物事の裏表についての身近な例としてスーパーの安売りを
説明します。
表:安売りしますよ。ご来店ください。
⇒スーパー側のアピール
裏:(不良在庫になりそうな)品物を安く卸すので、
目玉商品として、来店数向上させることができますよ。
⇒メーカーのアピール
結果:スーパー:安売りというキーワードで来店数を増やすことができた。
メーカー:不良在庫処分できた。広告としての効果も発生。
お客 :安く買えた!?
⇒不良在庫の理由にまつわるリスクをお客が最初にこうむる。
次にいよいよ、ROEを利用したアピールについて。
表:ROEが上がりました。つまり、株主様からの資本を効率的に使うことが
できていますよ。ROEの評価とともに株価も上がるから、
ぜひ購入してください。
⇒企業のアピール
~細く説明~
ROEは、自己資本に対する利益率ですが、負債を増やして、
利益を増やしてもROEは上がります。
ROEに対して、ROAという指標は総資本(負債+自己資本)に
対する利益率を示しており、負債を増やせば、ROAは下がってしまいます。
つまり、ROEは数字を細工できるのに対して、ROAは細工できません。
ではなぜ、ROEが着目されているのか。着目されるように雑誌に
ROEが踊るようになったのか
裏:負債を増やせば、ROEが上がりますよ。
調達コストも、自己資本要求利回りよりも負債利率の方が小さく、
企業のキャッシュアウトは抑えられますよ。
⇒金融業界のアピール
結果:金融業界は企業が借りてくれたため、キャッシュを調達できた。
企業はROE上昇に連動して、株価があがり、企業価値が上がった。
株主は株価上昇に伴う譲渡益などが増えた!?
⇒数字を細工したリスクが顕在化すると、
株主→企業→金融業界の順で不利益をこうむっていきます。
もちろん、基本的には、3者WINWINの関係になりますが、
こういう論理が潜在していることを理解しておくことは、
騙されないためにも重要です。
決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
- 作者: 國貞克則
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2007/05/30
- メディア: 新書
- 購入: 35人 クリック: 325回
- この商品を含むブログ (209件) を見る
そんな時でも一歩ずつ。